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杉山 友美さん|理工系WOMANのお仕事ルポ

取引先は70社以上の化粧品メーカー 画期的な商品で多くの女性を笑顔に!

 

 私の仕事は化粧品の開発です。勤務先のアサヌマコーポレーションは、自社で販売するのではなく他社のために化粧品をつくるのが仕事です。新商品の企画・開発から、パッケージのデザイン、製造まで一貫して行い、できあがった製品をパートナーである化粧品メーカーに納品します。これはOEM(Original Equipment Manufacturer)と呼ばれるビジネスのスタイルで、取引先は70 社以上。資生堂やカネボウ化粧品、日本ロレアルといったみなさんもよく知っている化粧品メーカーも含まれます。という私もこうしたOEM メーカーの存在を知ったのは、大学に入ってから。大手メーカーの化粧品が実は別の会社でつくられていたと知り驚きました。
 私は現在、化粧品メーカーから依頼を受けて、新商品をつくる際の処方の設計を担当しています。取り扱うのは主にパウダーファンデーション、チーク、アイシャドウなど。お客様の要望に合わせて、色味や使用感の調整をして、ひとつの新商品につき、30 〜 40 種の試作品をつくります。例えば、ファンデーションの場合、「しっとり」「さらさら」「カバー力」「透明感」といった感覚的なオーダーをしっかりヒアリングし、タルクやマイカと呼ばれるパウダーの成分や色素の配分を考えていきます。

担当した商品が お店で販売される喜び

 現在入社10 年目。ずっと化粧品研究所で勤務していますが、業務内容は少しずつレベルアップしています。まず、入社してすぐ取り組んだのは、先輩がつくった処方通りに試作品をつくること。その後、処方にアレンジを加える役割も担うようになります。商品開発は多くの場合、すでに売られている人気商品を手渡され、「これに近い使用感で」といったオーダーを受け、成分を微調整していきます。慣れてくると商品を少し調べれば、だいたいの成分がわかるようになります。そして、工程の全体像がわかるようになってくると処方を設計する立場を任されます。予算や容量などの条件や大量生産ができるかどうかを考えて設計する必要があり、プロの仕事の厳しさを痛感しています。
 この仕事の面白いところは、自分が担当した商品がデパートの化粧品売り場やコンビニの棚に並んでいるのを見られること。さらに、それらがコスメ雑誌のランキングで上位にランクされるのを見たときには、本当にうれしいし、やる気が出ます。また、数多くの有名メーカーと関わることができるのは、OEM メーカーならでは。最近は、海外の取引先も増えてきて、新たな刺激を受ける半面、英語力の必要性を痛感しています。

大学時代に研究者としての 基本スキルを叩き込まれた

 神奈川大学では、工学部応用化学科(現・物質生命化学科)で学びました。進学した理由は、卒業生の就職先に化粧品メーカーの実績があったから。高校生の私にとって、化粧品は身近に捉えられる存在でした。
 在学中は、佐藤憲一教授の「バイオ活性分子化学研究室」で、糖から新たな化学物質を合成する研究に取り組んでいました。
 私の研究テーマは、新規の化学物質の効率的な合成手法の確立。アルツハイマー病の治療薬に用いられるアミノ糖の一種を糖からいかに効率よく有機合成させるかを検討していました。とても熱心な研究室で、学部4 年次の1 年間はとにかく実験漬けの日々。正確に実験をして、データを収集し、レポートを作成するという「研究者の基本」を徹底的に鍛えられました。扱う対象は異なりますが、研究室で叩き込まれたスキルや研究者としての意識は、今の仕事でとても役立っています。
 大学時代の仲間とも今も連絡を取り合っています。卒業後もさまざまな業界で活躍している友達や先輩とのネットワークが維持できるのは、在学中に密なコミュニケーションができたから。これも神奈川大学ならではの魅力だと思いますね。
 化粧品は日々進化しています。ファンデーションひとつとっても、10 年前と今の商品では比較にならないほどクオリティが上がっています。そこが化粧品開発という仕事の難しいところであり、魅力でもあります。この変化の激しい業界で、これからも新規性のある商品づくりに携わって、多くの女性を笑顔にしていきたいと思っています。

【PICK UP!】

「糖」「アミノ酸」を用いて医薬品の原料を有機合成する


佐藤憲一教授率いるバイオ活性分子化学研究室。

神奈川大学 工学部 物質生命化学科

 杉山さんが神奈川大学在籍中に所属していた物質生命化学科「バイオ活性分子化学研究室」の主な研究対象は、「糖」と「アミノ酸」。これらは生体を構成する基本材料で、砂糖、でんぷん、たんぱく質などを構成する要素として、日常生活にも深く関わっています。また、合成化学の分野では、医薬品の原料としても用いられています。研究室では、さまざまな有機化学反応を利用して、「糖」と「アミノ酸」を原料として、天然由来の生理活性物質を合成し、医薬品や農薬の開発に役立てる研究をしています。

杉山 友美さん|理工系WOMANのお仕事ルポ

プロフィール

アサヌマ コーポレーション株式会社
化粧品研究所 サブグループリーダー

杉山 友美 さん

神奈川大学 工学部
物質生命化学科(旧・応用化学科)卒業。
もともと天体観測が好きで、理系の学びに興味を持つように。高校時代から化粧品開発という仕事に身近なものを感じ、応用化学科(当時)に進学。在学中は、有機化合物の合成手法の研究に取り組んでいた。

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