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これが電気電子工学の現在形!

電気自動車、太陽光発電、インターネット、スマートフォン、映像・音響など、最先端の製品・技術のほぼすべてに関わるのが電気電子工学です。女子にとっても魅力的なテーマがきっと見つかるはず!

さらに広がる活躍の場
省エネに果たす役割も大きい

 私たちの生活は、発電所から送られる電気によって成り立っています。しかも、冷蔵庫、エアコン、洗濯機、テレビなどの電化製品だけが電気に関係しているわけではありません。電車、船舶、飛行機などの交通機関は電気で動いていますし、自動車も電気自動車の時代になりつつあります。薬品、食品、鉄鋼などは一見、電気と関わりがないように感じられるかもしれませんが、それらを製造する機械には必ず電気が使われています。
 近年、日本の大手電機メーカーの中に、経営苦境に陥るところが見られるなど、暗いニュースが続きました。そのため、電気電子工学系学科の人気はやや下降気味。けれども、電気は生活のあらゆる分野に関わっており、電気の専門知識・技術を身につけた人材が活躍できる場はむしろ広がっているのです。
 具体例をいくつか紹介しましょう。東京五輪に向けて、もっと高速で通信できる「第5世代携帯電話」の開発が進行しています。その技術が完成すれば、全国で敷設工事に携わる人材が大量に必要になります。
 また、省エネが進めば、電気の役割は小さくなり、電気電子工学技術者へのニーズも少なくなると思う人もいるかもしれませんが、それは大きな誤解です。インバーター内蔵エアコン、ハイブリッドカーなど、省エネ製品が次々に開発されていますが、すべてエネルギー効率をどのように向上させるかが鍵を握ります。それは以前から電気電子工学で研究されてきたテーマです。環境にやさしい社会を目指して、省エネを図る上でも、電気電子工学の研究成果が重要な役割を果たすのです。

電気工学と電子工学を
統合させる大学が増加

 電気を扱う工学領域は、大きく電気工学と電子工学の2つに分かれます。
 電気工学は、モノを動かすエネルギーとしての電気を扱う領域で、発電、送電、電池、モーター、LED照明などが研究対象になります。一方の電子工学は、情報を伝える道具としての電気を扱う領域で、インターネット、電波、パソコン、半導体、映像・音響などが研究テーマになると考えればイメージしやすいでしょう。
 以前は、電気工学科と電子工学科を別々に設置する大学が多かったのですが、最近では統合する大学が増えています。金沢工業大学でも2018年度、電気電子工学科に統合します。
 これには2つの理由があります。1つは、電気工学も電子工学も、ベースとなる学問は、皆さんが高校の物理でも勉強した「電気回路」と「電気磁気学」だということです。とくに低学年次の基礎科目は共通しており、カリキュラムを別にする必要性が低いわけです。
 もう1つの理由は、ほとんどの分野で両方の技術が要求されるようになっていることです。例えば、電車を動かすパワーエレクトロニクスの分野でも、細かな制御にはマイコンが使われています。パワーエレクトロニクスは電気工学、マイコンは電子工学の領域ですが、いずれか一方しかわからないようでは、社会の現場に出たときに通用しないのです。
 電気電子工学系学科では、主として「電力・エネルギー」「電気機器・制御」「エネルギー材料・デバイス」「光・電子デバイス」「通信・電波」「音響・映像」の6分野の研究が行われています。その研究成果がどんな製品を生み出すのか、いくつかの例を紹介しましょう。
 スマートフォンやノートパソコン、ハイブリッドカーや電気自動車など、用途が広がっているのがバッテリーです。充電時間の短縮化、長寿命化に向けた研究が活発化しており、新たなブレークスルーが期待されています。
 インターネット関連では、モノもインターネットに接続するIoT(Internet of Things)の研究が進んでいます。今後、飛躍的に情報伝送を行うモノが増えることは確実で、どのようなルールのもとに情報を流せばいいのかも研究テーマになっています。
 センサー技術の進展も、新たな世界を生み出しています。たとえば自動車に、近くに人がいると警告音を鳴らすセンサーを搭載するなど、将来の自動運転につながる研究が行われています。スマートフォンに加速度センサーを取りつけて、どの方向に進んでいるのか正確に知ることができる技術も登場しています。さらに、パソコンの中に入っている半導体を使って、さまざまな電気信号を処理する研究も盛んです。

多様な業種に進出でき
自分の可能性を広げられる

 冒頭に申し上げたように、電気は私たちの生活のあらゆるシーンに関わっていることから、電気電子工学系学科の就職先は多彩な業種にわたっています。電機メーカーはもちろん、製造機械は必ず電気を使いますから、すべてのモノづくりの現場に進出しているといっても過言ではありません。小売業でも、売り場のIT化のために電気電子工学技術者が活躍しています。コミュニケーション力に優れていれば、技術系商社で、顧客の悩みを聞いて、新たなシステムを提案する技術営業職もあります。
 私は、電気電子工学系学科に向いたタイプというものは存在しないと考えています。どの学生でも興味を持てるものが見つかるだけの多様な研究が行われていますし、バラエティーに富んだ求人先の中から、自分の個性、適性を生かせる職場を選ぶことができるからです。自分の可能性を広げられるとともに、専門職である技術者として活躍できることが、電気電子工学を学ぶ魅力であり、強みでもあると考えています。

  • 太陽光発電
    太陽や風など、自然エネルギーによる発電が拡大 しています。電気エネルギーへの変換を高効率に するための研究が進んでいます。
  • 半導体レーザー
    インターネットの光回線、ブルーレイレコーダー、 高精細ディスプレイ、バーコードリーダーなどで、 半導体レーザーの光が使われています。
  • 電気自動車
    CO2 を出さず、環境にやさしい乗り物として期待され る電気自動車。車載用半導体デバイス、蓄電池、モー ターなど、電気電子工学技術の粋が用いられています。


「無線電力伝送」でケーブルレスをめざす

金沢工業大学 工学部 電気電子工学科
伊東 健治 教授

 三菱電機で25年間にわたりエンジニア、マネージャーとして勤務された経歴を持つ伊東健治教授の研究テーマは、電波を使った技術で社会に貢献すること。 最近、特に力を入れているのは、無線で電力を伝送するシステムの開発です。電源にケーブルを用いる必要がなくなれば、「スマホの充電がコードレスでできる」「家庭で電気配線工事の必要がなくなる」「自動車の内装に毛細血管のように張り巡らされた電気コードの数を減らせる」など、夢のような世界が生まれます。
 また、金沢工業大学は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)やJST(科学技術振興機構)などのプロジェクトに採択され、ヒトだけでなくモノもインターネットに接続するIoTの実現に向けた研究を進めています。電気電子工学科の教員が連携して、放送電波、Wi-Fi電波などの微弱電波を使って電気を発生させる研究に取り組んでおり、世界トップの発電性能を目指しています。
 こうした研究業績により、伊東教授はIEEEから、革新的な変化をもたらす新しい理論・システムを考案した研究者に与えられる、最高級グレードの称号「フェロー」を授与されています。

*米国電気電子学会。世界最大規模の学会で、Wi-Fiなどの標準規格を策定する団体でもある。

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