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特集(PC用)

現場のリアルなニーズに 応えられる建築設計者をめざしたい

仲間と協力して問題解決を 図る楽しさに目覚めた

 中学生のとき、東日本大震災が起こり、たくさんの建物が崩壊する様子にショックを受けました。被災地の復興を支援する仕事がしたいという思いが生まれ、工業高校の建築科に進み、大学でも建築土木工学科に入りました。
 入学後、最も興味を持った授業は、下川勇教授の「地域計画」です。教授から提示されたのは「キャンパスの近くにある足羽山を、数多くの人が集まる場所として活性化するにはどうすればいいか」というテーマでした。学生は3名1組でグループを編成して、調査・分析し、議論を重ねていきます。私たちのグループは、現地に何度も足を運び、「空き家を宿泊施設やカフェとして再生」「40~50歳代の人々の健康づくりに役立つ山歩きのイベントを開催」などのアイデアをまとめ、プレゼンテーションしました。私は引っ込み思案の性格だったのですが、この授業を通して、仲間とコミュニケーションを図り、協力して問題解決をめざす楽しさに目覚めることができました。現場を知り、リアルなニーズに触れることが大切だという意識も高まり、さまざまなプロジェクトが進行している下川研究室を選びました。

細かな気配りができる女性の 採用に積極的な建築土木業界

高校生の頃から使い慣れた製図用具を、今でも愛用しています。

 大学卒業後は、地元の建設会社に就職したいと思っています。インターンシップや会社説明会などで心強く感じたのは、建築土木業界が女子学生の採用に積極的になっているということです。実際に、企業の採用担当者の方から「細かな気配りできることが、女性の強みになる」という話も聞きました。もちろん、女性ならではの感性も生かせるはずです。いずれは現場のリアルなニーズに応えることができる建築設計者になることが夢ですが、その前に、建築現場を管理・監督する業務を経験したいと考えています。そんなキャリア設計を描くようになったのも、現場経験を重視する下川研究室で学んだ収穫だと感じています。

Message

福井キャンパスでは3学部8学科の学生が学んでいます。学部・学科の垣根を越えた交流が活発で、視野を広げることができます。とくにデザイン学科の学生の発想や視点には大いに刺激を受けています。

理工ガールが活躍する研究室
工学部 建築土木工学科 下川勇研究室

地域の実例こそが最適な「教科書」 学生と一緒に遊休不動産の活用に挑む

下川 勇
工学部
建築土木工学科 教授

日本文理大学工学部建築学科卒業。福井大学大学院工学研究科システム設計専攻博士課程修了。博士(工学)。専門は建築論、都市論。2005年福井工業大学工学部講師。准教授を経て、2018年教授に就任。福井市都市景観賞、光のアートコンペグランプリなどを受賞。多くの自治体の審議会委員・顧問も務める。

 現在、日本の空き家は1,000万件を越え、空き地を含めた遊休不動産の存在が大問題になっています。本研究室のテーマは「負の財産」と捉えられている遊休不動産の活用を図り、「価値のある財産」へと変貌させることです。さらに、それが都市にどのような好影響を及ぼすかを研究し、都市の再生に役立てることが目標です。  研究室の最大の特色は、現場経験の重視です。教科書に書かれている理論は、地域の生の情報には勝てません。都市デザインにおいて何よりも重要なのは、その地に住んでいる人の声を受け止めて、その中から課題を発見し、地域に応じた街づくりを探ることです。地域の実例こそが最適な「教科書」になるわけです。  たとえば越前市若竹町では、銭湯の再生に取り組んでいます。かつては打ち刃物の職人町として栄え、最盛期には市内全体で約130件の銭湯がありましたが、昨年9月、最後の1件が廃業しました。銭湯には古くから地域コミュニティの拠点の役割があります。銭湯が消滅すると、常連同士の交流がなくなり、エリアのコミュニティが崩れてしまいます。そこで、学生と地域住民が協力して、老朽化した設備を清掃・補修し、改めて保健所の認可を取得し、今年5月、営業再開にこぎ着けました。  福井駅前南通り市街地の再開発にも携わっています。人口減少・超高齢化社会を背景に、国の重点的政策として進められているのが「コンパクトシティ」です。地方都市において、中心市街地に都市機能を集約して高度利用を図り、街中居住を増やす構想です。けれども、福井を含むほとんどの地方都市の中心市街地は、すでに駐車場として利用されている土地が多く、居住者を増やすためには高層化を図るしかありません。高層マンションは不動産投資の対象になっており、実際には住まないケースが少なくないのです。その理由は単純で、中心市街地にスーパー、公園、文化施設、交通機関など、高齢者や子育て世代に適した機能やサービスがないからです。福井駅前南通り市街地を住みやすいエリアに再生し、他の地方都市再開発の参考になるような成功事例にしたいと考えています。  こうした地域のリアルな課題に接した学生たちは、たくましく成長します。自己満足ではなく、地域に貢献できる設計や都市計画を考えようという意識も高めています。


今年5月、営業を再開した越前市若竹町の銭湯「城勝湯」の前で、地域住民と語り合う学生たち。


下川研究室の学生たち。地域と連携した活動が多い研究室なだけに、アクティブなタイプの学生が多い。

宇宙の街=福井をめざす「ふくいPHOENIXプロジェクト」

オリジナルの超小型衛星1号機「FUT-SAT」のプロトタイプ。宇宙博でも展示された。

2016年度文部科学省「私立大学研究ブランディング事業」に採択された「ふくいPHOENIXプロジェクト」。あわらキャンパスに設置された北陸最大の直径10mのパラボナアンテナなどを利用して、多様な取り組みを実施しています。 たとえば、2019年度の打ち上げに向けて開発が進められているのが超小型衛星1号機「FUT-SAT」。デジタルカメラを搭載し、夜の地球の写真を撮影することで、まちあかりの明るさと分布を計測し、まちあかりが星空の見えやすさに及ぼす影響を調べることを目的にしています。 多くの自治体と連携し、「宇宙の街=福井」のイメージを高め、観光を活発化し、地域振興につなげることも目標です。勝山市の小原集落の再生古民家で、福井の美しい星空を生かした「宇宙カフェ」を試験的に実施しています。

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