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特集(PC用)

アバターの洋服コーディネートで 人の感性の裏側にあるルールを解明

りけいにすすみたいといういっしんですうがくにうちこみ、しぜんととくいに視線情報を駆使し人の“好き”を分析する

人は、美しいものや興味のあるものに出会ったとき、直感的にいろいろな感情を抱きます。それは、「かわいい」だったり、「おもしろそう」だったりと人によってさまざまで、その理由も千差万別です。現在私は、このような人の嗜好の裏側にあるルールを取得するためのシステムを、検証実験を通して開発しています。今は研究室で独自につくったアバターを用いて、ファッションコーディネートの評価を行っています。 アバターに着用させる洋服のほか、アバターのヘアスタイルや目の色などのパターンも用意。色味や柄は、アニメや実際の洋服などから着想を得て、幅広くデザインしました。実際の検証実験ではアバターのさまざまな着用例をモニターに複数パターン提示し、被験者にどちらが好きか選択してもらいます。 選択の際には、ある一定の時間視線を留めているだけで、選択の意思になる可能性の高い視線情報を採用。被験者の負担を軽減することができ、より多くの実験結果が収集可能になります。この実験により、被験者の好みを学習し、その人の感性に合ったデザインをつくれるほか、多くの人に好まれるデザインの特徴というルールも獲得できるとみています。

昔読んだ小説のAIのように人を思うシステムエンジニアに

研究室配属の際に竹之内先生からいただいたUSBメモリー。研究に欠かせません。

私が小学生の頃、家族を亡くした研究者に人工知能がそっと寄り添うAIを題材にした小説を読みました。こんなコンピューターを私も将来つくりたい!と感銘。そして現在、答えが見つかっていない問題を解いたり、この世にないものを開発したりと、理系の研究のおもしさを日々感じています。それは、小学生のときに思い描いた夢に、少しずつ近づいているからかもしれません。まずは来年、大学院に進学し、感性情報処理についてより専門性を深く研究することが重要だと考えています。そして卒業後はシステムエンジニアとして、人や生活を支えるシステムをつくりたいと思います。

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理系が苦手で理工系大学への進学を諦めかけていました。しかし、私の所属するシステムマネジメント学科は文系からの志願者も多いと知り、一念発起。今は好きな分野を学べる楽しさから理系の成績も伸びました!

理工ガールが活躍する研究室情報工学部 システムマネジメント学科 竹之内研究室

竹之内 宏
情報工学部
システムマネジメント学科
助教

2013年関西大学大学院理工学研究科総合理工学専攻博士後期課程修了。2014年より福岡工業大学助教に。 研究テーマは感性情報処理。ユーザーの感性情報を利用したファッションコーディネートシステムやユーザーの嗜好ルールを獲得するアルゴリズムの開発を行う。

「いいね!」「かっこいい!」といった人が抱く感情をコンピューターが学習する

「かわいいワンピースがほしい」「かっこいい時計を買いたい」。そんな人の感性をコンピューターが理解できたら、もっと生活が豊かになるのではないか? そんな考えのもと、私たちは新たなシステムの研究開発を行っています。そういった研究分野を、感性情報処理といいます。 例えば、インターネットである人が商品を購入する際、「好き」や「嫌い」といった直感で商品を選択するとします。この消費行動では、製品のメーカーにとって、その商品のどういったデザインがよく、逆にどんな部分が足りないのかが、とても重要な情報です。そこで、私たちはそういった人の感覚の裏側にある、嗜好のルールを分析し、本当に欲しいものを提案していくシステムをつくりたいと考えています。 既存のショッピングサイトでは、その人の検索履歴をもとに関連商品が表示されますが、私たちが考えているのは、より高精度でリアルタイムなシステム。現状は誤ってクリックしてしまったものまでも個人の情報としてカウントされてしまいます。そこで、理想とするレコメンドエンジンをつくるために、個人の趣味嗜好はもちろん、属性や行動といった個人の情報をもとにしたシステムのアルゴリズムを開発中です。 また、西村さんも携わっている、アバターによるファッションコーディネートのシステムも開発しています。アバターの髪型や目の色、洋服や靴などそれぞれに多彩なパターンを考え、学生の努力の甲斐あって約26万通りの組み合わせが用意できました。現在は、より多くの実験データを集めるべく、日々検証を行っています。情報を集積し、デザインをその人の好みにより近づけていくために進化計算をすることで、デザインに詳しくない人でも簡単にデザインできるほか、どのようなデザインが好まれるかといったマーケティング分析にも役立つと考えています。 私たちの研究は、プログラミングによるシステム構築から実験によるデータ収集までを一貫して行う、根気の要る作業。今日失敗しても明日は成功するかもしれないと前向きに取り組む、諦めない気持ちが不可欠です。一方で、何度トライしてもダメなら、違う方向に舵取りをするという、切り替えの柔軟さも求められます。これはセルフマネジメントにも極めて近いものです。目標に向かって一生懸命になれる未来の学生と一緒に、感性情報工学の世界を、さらに発展させていきたいと思っています。


対話型進化計算を用いた時計のデザインをカスタマイズするシステム。提示された2つから、複数回好きな方を選択していくだけで希望のデザインが完成する。


研究室のメンバーは3名。研究はパソコンでの作業がメインで、各々の実験データを共有しながら、ブラッシュアップしていくことも多いそう。

情報工学部 学生の自主研究活動「FITポケットラボ」

「第7回サイエンス・インカレ」にて、サイエンス・インカレ奨励表彰を受賞するという栄誉に輝いた瞬間。

FITポケットラボは、研究室に配属前の学生が、先輩学生の指導を仰ぎながら自主的に研究活動に打ち込むことができる、情報工学部(全4学科)独自の取組みです。低学年からユニークな学術活動に専念でき、自主的に知的探究心を追及できる環境が整えられています。自主研究活動の最終目的としては、文部科学省主催の「サイエンス・インカレ」で成果を発表すること。過去に「サイエンス・インカレ」では7年連続でファイナリストに選出され、数多くの名誉ある賞も獲得しました。その他の学術大会にも参加し、同じく賞をいただいています。FITポケットラボでは開発したシステムを展示するほか、地域のイベント等にも参加。ここでの経験により学生の学術活動に対する意識が向上し、就職という観点からも企業から注目が集まっています。

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