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理工系の"考え抜く力"は人生の様々な局面で役に立ちます。

日本工学教育協会“初”の女性理事に聞いてみました。
昨年、『女性エンジニアの未来プロジェクト』を発足させた日本工学教育協会。同協会で初の女性理事に就任した内海房子さんに工学教育の未来、女性技術者への展望を聞いてみました。

日本工学教育協会 理事・NECラーニング株式会社社長
内海房子さん


高校生にもキャリア開発教育を。生涯働くには専門技術が必要と感じるはず。

私がここまで38年間、産業界でやってこられたのは、仕事へのこだわりが大きいと思います。大学に入ったのが1967年。女子大の数学科ではありましたが、大きなコンピュータがありまして、私は生まれて初めてコンピュータに出合いました。自分で組んだプログラムを入れると、そのとおりに動いてくれる、ゲームも何も知らない世代としては、本当に衝撃的でした。

以来、コンピュータの魅力に取りつかれた私は「これでお給料がもらえたら最高だな」とコンピュータメーカーを志望したのでした。当時はまだIBM全盛のころで、国産のコンピュータ事業部などは軒並み赤字。しかし、みんなIBMに追いつけ追い越せでやる気に満ち溢れていたんですよ。

働く意識の統計を見てみると、いつの時代でも若い女の子が保守的で、専業主婦志向が意外に多いのです。これは単純に若い子は経験が浅いので、仕事の魅力を知らないですし、結婚に憧れている部分もある。それに比べて30代、40代の女性は働く楽しさも知っていますし、結婚の現実も知っています。だからこそ生涯働きたい、働くためには専門性が必要、今のうちになんとかして専門技術を身につけておかないと……とがんばるわけです。

私が何を言いたいかというと、理工系に進学する人を増やすためにも、高校生に早めにキャリア教育をして、キャリアデザインの方法を教えるべきだと思うのです。そうすれば女性が生涯働いていくためには専門的技術が必要なんだということがきっとわかると思うので、必然的に理工系に進学する人も増えるのではないかと。理工系の魅力を説くのももちろん大切ですが、まずは自分の人生のキャリアプランをきちんと立てたうえで、専門分野の方向性を決めていくという教育をやっていかなければと思っています。

女性は特に理工系を学ぶといい。考え抜く力が人生のあらゆる局面で必要とされるから。

そもそも産業界では、女性技術者をもっと活用しようという発想はかなり前からあるんです。NECでは、1980年ごろ「将来、男性技術者だけでは技術者が足りなくなる」というプロジェクトがスタートし、女性技術者の採用強化に踏み切りました。1981年には50人の女性技術者を採用し、翌年100人、翌々年150人、さらに次の年は200人まで採用数を増やしました。単純に数が不足するというだけではなく、男性技術者だけによる開発は、高度成長時代の大量生産の時代であればよかったのですが、この多品種少量生産の多様性の時代にはマッチしなくなることがわかっていたのです。

これからはいい技術を持っているだけでは難しい。それを応用する力、発想力が大切です。それは女性に備わっている優れた能力のような気がしますね。いずれにせよ、男性だけで開発する時代はもう終わり、様々な交じり合いの中で開発も行われていくはずです。ですので、ますます女性技術者は必要となるでしょう。

そのために我が日本工学教育協会も支援活動を行っており、女性エンジニアの育成支援をテーマに活動する女性ワーキンググループを立ち上げております。具体的な活動としては、工学を学ぶ魅力を伝えるための講演活動や、中学・高校生が将来像を描きやすいようにロールモデルを紹介したり、保護者の方への啓発活動などを予定しています。今年の8月には「翔け!輝け!女性エンジニア」と題して女性エンジニア育成支援シンポジウムを名古屋大学で開催しました。4人のパネリストにお越しいただき、三菱重工で戦闘機用フライトシュミレータ開発を行うなど開発の最前線で働いている女性エンジニアのお話や、研究開発と子育ての両立についてデンソー社員の方に語っていただいたり、名古屋大学の男女共同参画室長には、性別によらず個性で輝く社会の実現についてお話いただいたりと、盛りだくさんの内容を用意いたしました。中でも自身の4ヵ月の育児休業によって人生が変わるほどの体験をしたという関西大学・森田雅也さんのお話はみなさん大変興味深かったようです。

女性たちには、理工系に進むことをお勧めします。社会に出たときに、その専門性が強い味方になるというのは先にも述べたとおりですが、それ以上に、人生のいろいろな局面で“考え抜く”力が必要とされるからです。女性だけではありませんが、特に女性は、社会の中でみんなが幸せに暮らせるように知恵を出し合わなければなりません。そのとき、理工系で培った“考え抜く”力が役に立つのです。

社団法人日本工学教育協会
1952年、文部省大学学術局技術教育課内に設置。以来、情報の提供、調査研究の推進、工学系専門教育プログラムの審査、世界各国の工学教育関連団体との交流など、様々な角度から工学・技術教育の支援活動を行っている。
〒108-0014 東京都港区芝5-26-20 建築会館4階
電話 03-5442-1021(代) FAX 03-5442-0241
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