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特集(PC用)

電気機器の部分放電に着目。機器が持つ余寿命を解明する

電気工学への興味の始まりは 部分放電の原理って何?

H.Yさん

 私が研究しているのは、電気機器が壊れる前に、イナズマのように微弱な放電が発生する「部分放電」という現象です。その現象の原理って何だろう? 以前何気なく感じたその疑問の答えを探れると思い、匹田・小迫研究室の門を叩きました。この分野は、変圧器などの電気エネルギー機器の異常を部分放電からいち早く察知し、未然に故障を防ぐことをめざす研究です。私の研究室では気体、真空、液体、固体を用いて、絶縁診断という定期的な検査の高度化に取り組んでいます。機器は年月が経つごとに劣化していくため、絶縁診断が不可欠。人間でいうと健康診断のようなものです。機器が完全に故障してしまうと修復にも長時間を要し、プラント設備などに大きな影響を与えてしまうため、機器の余寿命を推定する絶縁診断のさらなる高度化が必要とされています。

夢は地域に貢献できる電気技術者になること

愛犬・バムの写真は常に携帯している宝物。疲れたときに元気をもらっています。

 将来の目標は電力関係の技術者になることです。毎日の生活に欠かせない電気を、安全かつ安定して届けることができるよう、これまで身につけた専門的な知識を生かして、地元九州に貢献したいと思っています。そして、実践力を積み、ゆくゆくは海外で働くことも視野に入れています。あらゆる経験を踏むことで、結婚、出産を経ても、それまでの確かな経験値を元手に、技術者として長く活躍できるように、私らしくキャリアを重ねていきたいです。
 高校時代は、理系の学びは必ず決まった答えが出るものだと考えていました。しかし、大学に入ると電気工学の世界はまだまだ解明できないことが多いことを実感。むしろ、答えが出ないことが頻繁にあるからこそ、多角的な視点を養い、新たな発見に挑む毎日はとても刺激的です。電気工学に興味を持ち、積極的に取り組む女子学生が増えることを願っています。

わたしの学部・学科自慢

九州工業大学には、世界的に有名な先生がたくさんいます。
私の担当教員の匹田政幸先生の研究も、海外から注目されています。
世界最先端の研究に間近で触れられることは何事にも代えがたい魅力です!

理工ガールが活躍する研究室  大学院工学研究院 電気電子工学研究系 匹田・小迫研究室

省エネルギー社会に適応するため電気機器の高性能化を追究する

匹田 政幸
大学院工学研究院
電気電子工学研究系 教授

名古屋大学大学院工学研究科博士課程修了。工学博士。マサチューセッツ工科大学高電圧研究所客員研究員などを経て、1996 年4 月より現職。1995 年に電気学会論文賞を受賞。電気学会会員、応用物理学会会員、電気設備学会会員なども務める。

 私たちは、電力用変圧器、ガス絶縁開閉装置、電力ケーブルの「絶縁診断の高度化」、ナノ技術を用いた「次世代絶縁材料開発」、電気自動車向けの次世代パワーデバイス、モジュールを用いた「次世代パワーエレクトロニクスの開発」の3 本柱で研究を行っています。なかでも、Y さんに関連する分野では、常時または定期的に測定・監視するオンライン部分放電監視システムを構築し、研究室の基礎研究と並行して、その成果を提携先の電力会社の実超高圧変電所や配電設備、プラント、商業施設の実電気設備などに適用しています。本研究室に所属する大学院生は、各人が提携企業を数社ずつ抱え、企業と連携しながら毎日研究を進めています。社会人と対等に渡り合うことはもちろん、学生によっては夜遅くまで研究に打ち込んでいるため正直大変な研究ではありますが、彼らは社会で生きる実践力を人一倍身につけているはずです。
 私たちの研究のモットーは、化楽天(けらくてん)です。仏教用語で“自ら楽しむために楽しむ” という意味で、学生たちには楽しんで研究し、発表してもらいたいという思いをその言葉に込めています。プレゼンテーションは学会形式を取り、目的、理論、実験方法、実験結果、考察、結論、今後の課題といった流れで具体性を持って発表。ゼミでもグループミーティングや英語の論文発表を行い、大切な情報交換の場として時間を共有しています。
 研究室で身につけてほしいのは、「本質を見極める力」です。独自に思考し、判断する力は、研究者・技術者として社会で活躍するうえで欠かせない能力。そのためにも、物事の判断材料となる正しい基礎知識をしっかりと習得してもらいたいと思っています。正しい基礎知識の構築により、意外性のある新たなアイデアが湧いてくるかもしれません。そして、産学連携による外部企業の技術者との交流を通して、自身の感覚で世の中の動向を肌で感じ、自分で考え、アイデアを提案する創造力も養ってほしいです。
 電気工学、電力工学、電子工学とは、目に見えない現象を取り扱う難しそうな学問。しかし、現在の高度情報化社会を支え、将来の省エネルギーや環境調和型社会を実現するために不可欠な、社会的基盤である電力網を構成する原理を学ぶことができます。未来を、社会を支える技術者への道をともに歩んでいきませんか?


匹田・小迫研究室のメンバー。「先輩たちの真摯に研究に向き合う姿に背中を押され、現在は大学院進学をめざしています」とY さん。


実際の電柱を設置した実践さながらの実験室での作業シーン。高電圧を用いる実 験のため、入念に注意を払いながらグループで実験を行います。

2018年度より学科再編を行い、新生・九工大へ

「宇宙システム工学科」では、次世代の宇宙開発・利用を担うべく、“ホンモノ”の宇宙を学ぶ環境を提供。

 産業構造の変化や社会のニーズに対応することを目的に、工学部、情報工学部の学科を再編。さらに、大学院への接続を円滑にするコース制の制定により、九州工業大学の強みを強化することが狙いです。
 【工学部】の注目すべき変革は、機械工学や電気工学の観点から総合的に宇宙工学を学ぶ「宇宙システム工学科」の新設です。
 【情報工学部】は全学科を見直し、「知能情報工学科」「情報・通信工学科」「知的システム工学科」「物理情報工学科」「生命化学情報工学科」の5 学科に再編。また、両学部に『類別入試』を導入します。
 『類別入試』とは、「類」で受験、入学し、2 年生進級時に学科配属を行う仕組みで、入学後の「大学での学び」を通して進学する学科を選択することができます。新生・九工大のプロローグは始まっています。

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